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バックオフィスにおけるDX動向 – 人事編(HRテック)①「HRテックとは?」

DX

ここまで、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉の定義に始まり、DXを阻む背景やDX推進ガイドライン、海外の先進的なDX事例を取り上げてきました。現状、日本は他の先進国に比べ”DX後進国”という立ち位置であり、経産省が発表した『DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開』の中では、日本におけるDXがこのまま進まない場合、2025年までに年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると論じられました。少子高齢化に伴う労働人口の減少に直面する日本は、今後DXを強力に推進し、ビジネスにおける生産性を向上させることが最重要課題となっています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?入門編②にて、「DX推進にあたっては、『Small Start, Fail First(スモールスタート、フェイルファースト)』が重要」と述べました。DXの対象を絞り、素早く実行し、失敗し、失敗から学ぶということを繰り返す。そうして得た学びと小さな成功体験を積み上げていくことで、DXに対する知識・技術・ノウハウを社内に蓄積させることができます。そして、この「スモールスタート」の対象として有効なのが、バックオフィス業務です。

AIやRPAなどは定型作業中心の事務作業を自動化することに向いており、そういう意味ではバックオフィス業務はテクノロジーとの相性が良く、DXの取り掛かりとして最適な領域と言えます。事務作業が効率化されることで、より高い付加価値を創出する業務に集中できる時間が捻出される上、整理されたデータを活用することで、経営に直接貢献する付加価値を生み出すこともできます。

そこで、今後数回に渡り「バックオフィスにおけるDX」というテーマのもと、バックオフィス業務におけるDX動向について取り上げていきたいと思います。シリーズ初回となる今回は、人事領域におけるDX動向について紹介したいと思います。

 

HRテックとは?

 

近年、人事領域にまつわるテクノロジーは「HRテクノロジー」「HRテック」と呼ばれ、注目を浴びています。欧米で発展を遂げてきたHRテックは、ここ数年で日本でも急激な広がりを見せています。その背景には、少子高齢化による労働人口の減少と、テクノロジー導入のハードルが下がっていることが挙げられます。これは人事領域以外にも言えることですが、労働人口が減少傾向にある日本では、業務の生産性をあげるための効率化施策が必要不可欠であり、それをサポートする多くのソリューションがすでにマーケットに存在します。

 

HRテックの定義

はじめに、HRテックの定義を明確にしたいと思います。経済産業省が主催する「経営競争力強化に向けた人材マネジメント研究会」の第1回研究会のレポートによると、HRテックの定義は以下の通りです。

『先端技術を活用し、企業における人材マネジメントをより効率的・効果的に実施することであり、業務運用をシステム化するだけでなく、企業の内外に存在する多種多様・大量のデータを活用し、将来予測を基にした先読みのマネジメント施策を立案・実行・モニタリングしていくこと』

人事領域における従来のシステムは、主に給与計算や人事管理などの基幹業務に焦点が絞られていました。しかし上記の定義にもある通り、昨今のHRテックはこれまでの業務運用を効率化するだけでなく、データを活用し付加価値を生み出すための方法を提供してくれます。例えば、従業員の経験やスキルをタレントマネジメントシステムで管理・可視化し、データに基づいて人材の適性や育成プランを作成することで、戦略的な人事配置や人材開発を行うことが可能になります。このように、近年のHRテックによって人事領域の業務をDX化する動きが活発化しています。

 

変化に対応するHRテック

 

VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字)という言葉に象徴されるように、社会やビジネスにおいて将来を予測するのが非常に困難な時代になってきています。ありとあらゆる業務が不確実性への対応を迫られていますが、もちろん人事領域でも同様です。

多くの日本企業は「終身雇用」「新卒一括採用」「年功序列」の3つに象徴される人事戦略を長年採用してきました。日本経済が右肩上がりに成長していた高度経済成長期では、企業の生産力を上げるためにこのような戦略が取られてきましたが、変化の激しい時代に対応するためにはこれまでとは異なるアプローチが必要です。近年では人材の流動性が高まったことを背景に、通年採用や優秀な若手に高額な給与の提示など人材を惹き付けるための取り組みや、1人1人の個性や強みに合った人材育成など、過去の継続から新たな戦略とビジョンに基づいた取り組みが多く展開されています。

このような取り組みをバックアップするのがHRテックであり、現代社会ではテクノロジーを活用”せざるをえない”ような状況になっているといっても過言ではないでしょう。では、HRテックには、一体どのような領域が存在するのでしょうか。

 

HRテック をどのように活用するか

出典:経営競争力強化に向けた人材マネジメント研究会 第1回研究会レポート P6 

 

HRテックと一言でいっても、その活用方法は多岐に渡ります。上の図は「経営競争力強化に向けた人材マネジメント研究会」の第1回研究会のレポートから抜粋してきたHRテックの全体像です。テクノロジーを気軽に活用できるようになったことで、下段にある基幹業務でのテクノロジー活用に加え、中段のタレントマネジメントや上段のデータ分析が可能になりました。また、RPAやAI技術の活用により、いままで人手によって行われていた単純作業の自動化が進んでいます。

では、次に各分野での具体的なHRテック活用についてご紹介します。

 

採用

優れた人材の採用は企業の生命線です。多くの企業が多大なコストと時間をかけて採用に取り組んでいますが、会社案内から始まり、企業説明会、応募者の管理、書類選考、面接と、採用決定まで多くの工程があり、採用担当者の大きな負担となっています。しかし、こうした業務はAIやWEBの活用によって劇的に効率化させることが可能です。

例えば、リクルーティングプラットフォームで募集情報を公開すれば、従来のように募集のたびに大学に求人票を送る手間が省けます。また、応募者が多い企業では、あらかじめ選考ポイントを細かく設定し学習させておくことで一次選考をAIに任せたり、企業説明会の日程や面接の日程調整などの定型的な問い合わせをAIチャットボットで効率化することもできます。

教育研修管理

企業の成長には人材の成長が不可欠ですが、「忙しくて部下の育成に十分な時間を割けない…」という管理職の方も多いのではないでしょうか。そこで、社員の個性や適性をもとにAIが研修プログラムを作成させることで、eラーニングやAR技術を使ったリアルな学習体験を自動で提供することが可能です。

360度評価

近年、組織のフラット化が進み、上司と部下の縦のつながりだけでは人事評価が難しい場面が増えてきました。そこで、縦のつながりだけでなく、同僚や他部署のメンバーなどからより客観的な評価を行う360度評価制度を採用する企業が増えています。この制度により、評価対象者はより公平かつ納得感のある評価を受けることができ、これまでの評価内容がシステムに記録されることで対象者はいつでも内容を振り返ることができます。

 

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「バックオフィスにおけるDX」初回の今回は、HRテックの定義や普及の背景などについてご紹介しました。DXを推進する上で取り掛かりやすいバックオフィス業務の要となる人事領域では、すでに様々なHRテック ソリューションが存在します。そこで次回は、いくつか具体的な活用事例を取り上げ、HRテックを通じたDXについて考えていきたいと思います。

 

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