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「4つの成功要素」を網羅した、海外におけるDX先行事例③

DX

今回は、前回に引き続き海外におけるDX事例を取り上げていきます。他社事例からDXのイメージを掴むことで、自社に活用できるヒントを得ることに繋がるはずです。特に海外にはDXの先進事例が数多く存在しますので、各業界のリーディングカンパニーがどのような取り組みを展開し成果に結びつけているか、事例を通じて考えていきたいと思います。

はじめに、改めてDXの成功の定義について確認します。これまでご紹介した通り、DXが成功した場合に企業が得られるものは以下の4つです。

  • 顧客との関係強化
    • 顧客の実際の購買行動に基づいた新しい購入への道筋の創造
  • 競合優位性
    • 競合優位を持つプラットフォームの構築
  • データ
    • データの資産化
  • 革新的なサービス
    • アジャイルな試行による革新の創造

 

上記4点に当てはまることを前提に、今回は自動車、玩具、消費財業界における事例を3つご紹介したいと思います。

LEGO

LEGOはデンマークに本社を置く、1932年設立の世界的なおもちゃメーカーです。現在世界約130ヶ国でおもちゃや関連教材を提供しています。LEGOは1970年〜1991年にかけて順調に事業を拡大しますが、その後約10年間に渡って徐々に衰退し、2004年に倒産の危機に直面します。これを転換期として再起を目指したLEGOは、映画、モバイルゲーム、モバイルアプリなどの領域への進出を通じたデジタルトランスフォーメーションのプログラムを開始しました。

そのプログラムの一環として発表されたのが、レゴをデジタル上で自由に設計できる「LEGO Digital Designer」です。これまで物理的な空間でしか遊ぶことのできなかった商品をデジタル上で再現することで、より自由かつクリエイティブな商品体験を顧客に提供しました。この「LEGO Digital Designer」は学習教材としても高い評価を獲得し、子供たちの親世代から幅広い支持を得ました。
その他に、自社製品を題材にした「LEGO」の映画制作を行い、わずか6000万ドルの製作予算で約4億6800万ドルもの収益を生み出すことに成功しています。

同社は2005年以降順調に業績を回復させ、2014年のEBITDAマージンは2007年に比べ約15%向上しました。LEGOは、映画やデジタル教材などのデジタルをベースとした新たなビジネスを立ち上げることで従来のビジネスモデルを自ら変革し、成功を収めています。

 

Audi

ドイツの代表的な自動車メーカーAudiは、「Audi City」という名の革新的なショールームコンセプトを導入することで、業界における自動車販売の在り方に変革をもたらしました。
Audi Cityは、大規模なショールームを構えるのが困難な都心部を中心に展開される体験型店舗で、アクセスのしやすい立地に加え、バーチャル技術を活用し顧客体験を充実させることで、顧客にユニークなブランド体験を提供しています。

Audi Cityでは、Audiの全モデルのカタログをハンズオンで探索することができます。ベルリン、ロンドン、北京にある各拠点では、店舗内の至る所に「パワーウォール」が設置され、顧客はウォール上で実物大のモデルをシームレスに体験できることに加え、VR技術を用いた体験スペースでは、様々なモデルを自分仕様にカスタマイズし、それをほぼ実寸大のスケールで体験することができます。これにより、顧客ごとの希望に合ったオプション装備を付加したモデルをその場で可視化させることが可能になりました。

Audiはバーチャル技術を駆使した顧客体験にフォーカスすることで店舗スペースを約半分まで縮小し、さらに従来の店舗にある試乗用モデルの在庫を大幅に削減することにも成功しました。結果、Audi City Londonでは、以前同じ敷地内にあった伝統的なショールームに比べ、売上を約60%増加させることに成功しています。

 

ユニリーバ

2010年以降、ユニリーバは衰退していた食品事業から撤退し、健康・美容事業へと移行しましたが、その規模の大きさが故に、素早いビジネスオペレーション体制の構築が急務となっていました。そこでユニリーバは、独自の顧客データベースを構築することに着手し、様々な成功事例を生み出しました。

2010年頃、市場調査会社より顧客データを購入しデータベースを構築することが一般的でしたが、ユニリーバは会員登録、ポイントカード、オンライン上の購買活動などから自らデータを収集し、9億件を超える独自の顧客データベースを築き上げました。この独自データベースを活用することで、ユニリーバはより高度な製品開発戦略の立案が可能となり、様々なビジネスオペレーションのデジタル化を推進しました。

例えば、インドで乳幼児向けボディウォッシュのブランドを展開する際、顧客データベースの情報をもとにターゲットを絞った広告を展開することで、従来と同水準のブランド認知度を5分の1のコストで獲得することに成功しました。また、データを活用したマーケティング戦略により、ブランドの立ち上げにかける時間を従来よりも約50%短縮しています。

ユニリーバは、消費者の特徴を細かく調査し、その特徴をもとに各顧客をセグメント分けすることで、消費者が求める製品やコンテンツを提供することに尽力しています。また、AIを活用した将来のトレンド予測に加え、RPAを通じたサプライチェーンやデータベースの管理業務を含むビジネスプロセスの業務生産性の向上など、独自のデータ資産と様々なテクノロジーを掛け合わせることで独自の優位性を築き上げています。

 

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今回は、LEGO、アウディ、ユニリーバの3社の海外DX先進事例を見てきました。各社ともに、自社の特徴や独自性をデータとテクノロジーにうまく結び付け、成果を生み出しています。そしてやはり共通しているのが「顧客志向」であり、どうしたらより良いサービス・製品を顧客に提供できるのかという思考を軸に各所でデジタル化を推進しています。デジタル化は目的ではなくあくまで手段であるということを常に意識することがDX推進において非常に重要です。

 

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