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(JP Only) Case Studies of Leading DX Company with ”4 Key Success Factors” in Overseas Vol.6

今回で、一連のDXの事例のご紹介は終了となりますが、前回に引き続き海外におけるDX事例を取り上げていきます。海外にはDXの先進事例が数多くあり、他社事例からDXの成功像を掴むことで、自社に活用できるヒントを得られるでしょう。各業界のリーディングカンパニーがどのような取り組みを展開し成果に結びつけているか、事例を通じて考えていきたいと思います。

はじめに、改めてDXの成功の定義について確認します。これまでご紹介した通り、DXが成功した場合に企業が得られるものは以下の4つです。

  • 顧客との関係強化
    • 顧客の実際の購買行動に基づいた新しい購入への道筋の創造
  • 競合優位性
    • 競合優位を持つプラットフォームの構築
  • データ
    • データの資産化
  • 革新的なサービス
    • アジャイルな試行による革新の創造

上記4点に当てはまることを前提に、今回は通信、製造業における事例を3つご紹介したいと思います。

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NOKIA

NOKIAは、かつての世界最大の携帯電話端末メーカーであり、現在は10万人以上の従業員を要する世界最大規模の通信インフラ設備の製造・開発企業です。

2011年までNOKIAは携帯電話端末メーカーでしたが、スマートフォン戦略の失敗やアメリカ市場での販売戦略の迷走、iPhoneおよびAndroidの躍進により、深刻な経営危機を迎えます。大規模なレイオフや携帯端末事業の売却などを通じて、通信インフラ事業会社へと変貌します。

そして2015年に、フランスの通信機器大手アルカテル・ルーセントを約1兆9700億円で買収し、経営統合を果たしました。

しかし、NOKIAとアルカテル・ルーセントという巨大な企業同士の統合は難しく、様々なプロセスで重複や無駄が発生していました。この問題を解消するために、プロセスビジュアライザーを導入しました。これは、社内プロセスを可視化し、どこでどのような処理が発生していて、どこにボトルネックがあるのかを視覚的に判断することができるものです。

これにより、プロセスの透明化を行い、どのようなプロセスがどの程度行われているかということをデータ化し、資産化することに成功しました。それにより、経営統合によるボトルネックを解消し、社内プロセスを継続的に改善していくことが可能となりました。

Safaricom Limited

Safaricom Limitedはケニアの通信事業者で、ケニア電信・電話会社の一部門として発足し、1993年に事業を始めた企業です。現在はケニア市場の60%以上のシェアを有し、3000万人以上のユーザーを擁しています。

ケニアでは、治安が悪く現金を持っていると強盗に遭うことが多く、地中に穴を掘り、お札をいれた壺を埋めて貯金するといったことがあるため、盗まれたり水に濡れたりする上、銀行口座を持っている人も非常に限られているという状況でした。

このような背景に対して、Safaricomがケニアに多くいる銀行口座を持たず、プリペイドの携帯電話を契約するユーザーをターゲットに始めたモバイルペイメントシステムが「M-PESA」です。
これは銀行の代わりにM-PESAの取扱店に口座を開き、携帯電話のSMSを利用してメッセージとして送金や決済を行うことができるというものです。

Mはモバイルを指し、PESAはスワヒリ語でお金を意味します。実際の現金の出し入れはケニア全土に7万件あるM-PESAの取扱店で行います。送金したい人は取扱店で現金を渡し、自分の口座に入金し、お金を受け取る人の携帯電話番号と金額をSMSで送信。受取人は、近くの取扱店でSMSの情報を見せてお金を受け取る仕組みとなっています。銀行がまだ十分に普及していない中、送金やお金の貸し借りや決済が容易に可能となりました。これにより、特に従来農業に従事していた女性の間で、ビジネスに進出するという機運が高まり、ケニア全体の家庭の2%の生活レベルを上げることに貢献したとも言われています。

このM-PESAは、現在ではケニアだけでなくタンザニアやアフガニスタン、南アフリカや東ヨーロッパへとその利用可能範囲が広がっています。

thyssenkrupp Materials Services

thyssenkrupp Materials Services(TKMS)はドイツ、エッセンにある世界最大規模の鉄鋼工業製品メーカーです。全世界に25万社以上の顧客を持ち、年間200万件以上の注文を受けています。

TKMSで大きな課題となったのは、サービスレベルを維持しながら、在庫と製品輸送コストを最適化するということです。しかしそのための正しいデータを収集することができず、データを分析・活用することが不可能となっていました。

この問題に対処するため、AlfredというTKMSの創業者の名前を冠したAIデータ自動分析プラットフォームを構築しました。

Alfredは大量のデータを処理し結果をシュミレーションし、分析することが出来ます。これにより、在庫状況や輸送コストへの影響分析、機器のメンテナンス、異常検知などを行います。その結果、最適な輸送ルートの算出やそれぞれの拠点のニーズの把握をより迅速に行う事が可能となりました。

このAlfredが導入されたことにより、従来では不可能であったデータを資産として活用するということが可能になり、会社の文化自体がデータ主導の組織へと変革されつつあります。

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今回は、NOKIA、Safaricom Limited、TKMSという3社の海外DX先進事例を見てきました。NOKIAやTKMSは、従来ではわからなかったプロセスのボトルネックを可視化することで、成果を生み出しています。そしてSafaricomは、今までにはない顧客体験を提供するために様々な工夫をこなし、サービスを展開しています。

各社ともに、従来とは異なるアプローチを取ることでデジタル化を推進し、大きな成功を収めています。従来の方法論を疑ってみて、新しい方法を模索するというのもDXが成功する一つの方法論といえるかもしれません。

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