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DX

(JP Only) Case Studies of Leading DX Company in Japan.

前回の記事では、海外における先進的なDX事例を4つご紹介しました。各国を代表するような大企業が、DXを通じてどう自社のビジネスを変革させてきたのかを見てきました。

今回は、国内企業におけるDX事例を見ていきたいと思います。

その前に、まずは改めてDXの成功の定義について確認したいと思います。前回ご紹介した通り、DXが成功した場合に企業が得られるものは以下の4つです。

  • 顧客との関係強化

   →顧客の実際の購買行動に基づいた新しい購入への道筋の創造

  • 競合優位性

   →競合優位を持つプラットフォームの構築

  • データ

   →データの資産化

  • 革新的なサービス

   →アジャイルな試行による革新の創造

今回も前回に引き続き、上記4点に当てはまるような事例をご紹介したいと思います。

【関連記事】
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?入門編①
「4つの成功要素」を網羅した、海外におけるDX先行事例①

日本交通

日本交通は1928年に創業した日本を代表するタクシー会社で、同業界のDXを牽引する存在として注目を浴びています。

日本交通は2011年に日本初のタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車(現Japan Taxi)」をリリースしました。この時期、DX入門編でもご紹介した米国発の配車アプリ「Uber」がリリースされ、米国で急成長を遂げていました。Uberが日本に進出したのは2013年のことですが、日本交通はその2年前にアプリをリリースし先手を打っています。現在アプリは900万ダウンロードを突破し、全国約900社のタクシー会社が保有する約7万台のタクシーを呼び出し利用することができます。

日本交通がアプリをリリースした当時は、国内のスマホ普及率がおよそ3割程度と、現在に比べると低水準でした。しかし、Uberによるオンライン配車サービスの台頭や、今後スマホの普及が進みタクシーの配車方法がオンラインへシフトしていく流れを予測し、サービスの開発に至りました。特筆すべきは、自社でエンジニアを抱えてアプリの開発を行い、業界をリードする形で自社サービスのDXに取り組むだけでなく、自社で開発したサービスを全国のタクシー会社に提供することで、業界全体のDXにも大きく貢献しているという点です。

その例として、決済機能とデジタルサイネージ(電子広告)を提供する「JapanTaxiタブレット」が挙げられます。乗客のキャッシュレス決済を実現すると同時に、広告を流すことでタクシー会社の新たな収入源を生み出しました。現在多くのタクシー会社に提供されています。

また、最近ではタブレットの音声通話機能や、企業向けのクラウド版配車サービスの「JapanTaxi BUSINESS」、「相乗りタクシー」や「変動迎車料金」の実証実験など、業界の新たなニーズの開拓にも積極的に取り組んでいます。

同社は、ドライバー不足や利用者の減少などの厳しい事業環境の中積極的なIT投資を行いにくいという企業に対し、自社で開発した技術を積極的に提供しています。

そして、ドライブレコーダーや走行履歴といったタクシーならではのデータを活用し、道路情報の解析や需要予測などにも取り組んでいます。

ZOZO

2019年にヤフーに買収されたことでも話題になったZOZOですが、同社が運営する「ZOZOTOWN」は、オフラインがベースだったアパレル業界において大きな変革をもたらしたDXの先進事例です。

現在商品取扱高3450億円、売上高1255億円、営業利益278億円と、高い収益率を誇るZOZOTOWNですが、同社の成功は、「百貨店で買い物し、商品を自分で持ち帰る」という行動を「サイト上で買い物してもらい、商品を自宅まで配送する」というサービスに置き換えた点にあると言えます。

当初、ZOZOTOWNは「ユナイテッドアローズ」や「ビームス」などの人気ブランドの商品を取り揃えることに注力しました。その結果、人気ブランド目当てでユーザーが増え始め、増えたユーザー目当てで別のブランドが次々と集まるという好循環が生まれました。

豊富な品揃えと季節ごとのセールなどで利用者は順調に増加し、縮小傾向にあるアパレル業界において、オンライン上のアウトレットのような存在として急成長を遂げました。

もともとアパレル業界は、試着ができないということを理由に通販には向かないとされてきました。しかしZOZOTOWNは、一部商品をのぞいて注文した商品を無料で返品できる有料会員サービスや、自分の体型に近いモデルのコーディネートを見てサイズ感を確かめることができるファッションコーディネートサイト「WEAR」の提供などを通じ、この問題を解消してきました。

ポイントは、ZOZOTOWNは、楽天市場などのECサイトと違い複数の商品を組み合わせて”コーディネートする”という概念が存在する点です。ECサイトで家電を探している人が家電のコーディネートを考えることなかなかないと思いますが、ZOZOTOWNの場合は探していたボトムスに合うトップスや帽子など、コーディネートを通じて他の商品を同時に購入したくなるという現象が起きます。

ZOZOTOWNは、このような業界の本質に着目し、もともとオフラインが主流だった購買の場をオンラインに移すというDXを通じ、成功を収めています。

トライグループ

1987年に創業したトライグループは、「家庭教師のトライ」や通信制高校のサポート校「トライ式高等学院」などをはじめ、生徒の学習指導から大人の資格取得まで幅広い教育サービスを展開しています。そんなトライグループは、「いつでも、どこでも、だれにでも。これからの時代に教育は、もっと自由になることができる(*)」という考えのもと、インターネットを活用した業界初の映像学習サービス「Try IT」の提供を開始しました。

「Try IT」では、4000本もの映像授業を無料で配信すると同時に、生徒からの質問に先生がスピーディに答えるという、オフラインの授業さながらの体験をオンライン上で実現しました。加えて、30年以上の家庭教師事業で培ったノウハウを活かし、生徒が学習するタイミングなどの行動データをもとに、テスト前にポイントを効率よく学習できる仕組みや、学習を継続的に続けることができる設計が施されています。

他にも、学習進度が一目でわかるダッシュボードや1.4倍速再生など、従来の教室での授業では実現が難しかったような機能を実装し、人気を集めています。

「Try IT」はリリース後、公式の会員登録者数は100万人を超え、特に定期テスト前には利用者が増加するなど、新しい生徒指導の形として業界に変革をもたらしました。

(*)「Try IT」 Webサイトより

 

まとめ

ここまで、3つの国内のDX先進事例を見てきました。共通しているのは、各社ともにデジタルを活用したサービスを業界の先陣を切る形で展開してきた点です。そして、どの事例においても、顧客との関係強化、競合優位性、データの資産化、そして革新的なサービスを実現しています。

次回は、改めて海外のDXの事例を探っていきたいと思います。

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