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(JP Only) Digital Transformation in Back Office – F&A② “Case Study of F&A DX”

バックオフィスのDXは多くの企業の課題です。アイティメディア株式会社が実施した「アフターコロナのバックオフィス業務に関する読者調査」によれば、新型コロナが流行する中でもバックオフィス業務の社員1/4が、テレワークなどを行えずに出社していたと回答しています。

またこうしたバックオフィスへの業務改善のため、DXに向けてのツールへの投資意欲がある企業の約4割が「以前と比べて、投資額を増やしたい」と回答しています。アフターコロナやウィズコロナという言葉が生まれてきたように、働き方も今後大きく変わっていくことでしょう。

本記事ではすでにバックオフィスの経理部門においてDXを行なった事例から、経理業のDXにおける今後の展望までを解説します。事例などを参考にぜひ自社のDXに役立ててみてください。

経理DXにおける事例

本記事でご紹介する経理のDXに関する事例は下記の3つです。

  • 会計システムのクラウド統合(株式会社吉野家ホールディングス)
  • 財務経理業務のデジタル改革(富士通株式会社&みずほ銀行)
  • 2人で460人以上の社員の給与を管理(株式会社エフアンドエム)

①会計システムのクラウド統合(株式会社吉野家ホールディングス)

牛丼でおなじみの吉野家、讃岐うどんチェーン店のはなまるうどん、上方寿司の京樽などを運営している株式会社吉野家ホールディングス。店舗数は3,400以上、世界25のエリアに展開している日本を代表する企業です。

吉野家ホールディングスでは2017年に本部業務の20%効率化を目指し、社内業務のIT化プロジェクトをスタートさせました。その中で目をつけたのが会計システムの刷新です。吉野家ホールディングスでは以前から同じ財務会計パッケージをグループ全体で展開していました。しかしグループ会社の数は21社、仕訳は月間で200万件発生しており、会社ごとに勘定科目がバラバラだったため、全体の業務効率化までには至りませんでした。そのため勘定科目をグループ会社で共通化させ、効率的な運用を目指しました。

効率的な運用を目指すために吉野家ホールディングスでは、クラウド上でグループの経理を一元化できるSuperStream-NXを導入しました。導入後はグループ全体の会計基盤にSuperStream-NXを置いたことで、従来まであったグループ会社ごとのカスタマイズなどがなくなり全社共通の運用を実現しています。会計機能を統合させたことにより、20%の業務効率化を見込んでいます。今後はAIやRPAなどの技術と組み合わせてさらなる発展を考えているとのことです。

②財務経理業務のデジタル改革(富士通株式会社 & 株式会社みずほ銀行)

富士通とみずほ銀行がタッグを組んで2019年3月に完成させたプロジェクトが『財務経理業務のデジタル化プロジェクト』です。取引先企業65社を取り込んで進められたプロジェクトは、2016年2月から2018年12月までの間に実証実験を行い、請求書の発行などの経理で発生する業務を全てデジタル化することを目標に進められました。

行なった実証実験では、サプライヤー企業(請求書発行側)とバイヤー企業(請求書受領側)の双方を電子請求(EIPP)と金融EDI(電子データ交換)で結ぶことで、請求、支払、入金の一連の取引を全て電子化させました。

結論から言えばサプライヤー企業、バイヤー企業共に業務時間の大幅な削減に成功しています。サプライヤー企業側では経理部門の作業時間を月約2,550時間削減させることに成功させました。

背景には従来、経理の業務のうち請求および回収に関する事務作業が47%を占めており、紙での請求書発行業務に多くの工数が割かれていてことにあります。電子化を行なったことで紙の発行作業がなくなり請求および回収の業務工数が半減となり、月約2,550時間の削減につながったと言います。

またバイヤー企業側の参加は65社に上りました。65社の中には電子化したことによる作業時間削減が月560時間、作業工数80%減にまでなったという会社も出てきました。これほど削減できるようになった要因として「従来の紙媒体の請求書に記載していないデータ項目(契約時の情報など)を参照できるようになった点」などが挙げられています。今後は企業の電子対応を増やし、日本のインフラにしていきたいとの目標を持っています。

③2人で460人以上の社員の給与を管理(株式会社エフアンドエム)

2人で460人以上の社員の給与管理を実現しているのが、『PCA給与DXクラウド』などを導入した株式会社エフアンドエムです。従来では別の給与計算ソフトをスタンドアロン方式で運用していましたが、一人が給与ソフトを操作していると他の人は操作や閲覧ができないなど効率的に作業が行えませんでした。またエフアンドエムでは、自社と子会社の正社員とアルバイトの給与計算を行わなければいけなかったため、給与計算が業務の圧迫となっていました。

これらの課題を解決するため、PCA給与DXクラウドを導入しました。導入した結果、給与計算とチェックを同時進行に行えるようになったことで、月にかかる給与計算の処理時間が半減することに成功し、給与ソフトは一人しか作業ができないという課題を解決しました。

また、PCA給与DXクラウドと「オフィスステーション労務」と「オフィスステーション年末調整」をWeb-API連携を行なったため、業務効率化がより進んでいます。オフィスステーション労務と連携した結果、社員の健康保険などの申請が電子申請となり役所へ行く時間が削減されました。オフィスステーション年末調整との連携では社員にスマホやPCから質問に答えてもらうだけで、申告データが簡単に作成できるようになり、作業時間が従来の1/3になったとしています。

こうしたクラウド上での運用によるデータ連携によって、社員2人で460人以上の従業員の給与計算を効率的に行うことを実現しています。

経理業のDXにおける今後の展望

先述した事例のようにバックオフィスへのDXは今後さらに加速していくことでしょう。なぜなら経済産業省が2025年までに業務のDX化を行わなければ、日本経済が2025年から2030年にかけて年間12兆円の経済的損失を被る可能性があると指摘しているからです。

参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

レポートの中では「2025年の崖」と呼ばれる単語が出てきています。2025年の崖とは残存しているレガシーシステムが老朽化、ブラックボックス化していくことで新しいIT投資ができなくなり、2025年以降企業のグローバル競争力が低下することです。そのため、レポートでは2025年までにレガシーシステムを刷新できない場合、多くの事業機会を損失すると予測しています。

経理業などのバックオフィスには、まだ多くのレガシーシステムが残存しています。しかし今後はクラウドやAIなどを活用した新技術が主たる社会になっていくでしょう。そのため企業はDXを推進しなければなりません。バックオフィスまでDXを進められた企業は2025年以降も安定した業績を残し、対応できなかった企業は取り残されてしまうことになると予想されます。

まとめ

本記事では経理業のDX化の事例と今後の展望について解説しました。「2025年の崖」という単語が出てきたように、バックオフィスにもDXの波はすでに押し寄せています。

大企業のみがDXを求められているのではなく、日本企業のすべてにDXが求められています。

今後もバックオフィスのDX事例は多く出てくるでしょう。ぜひ、先進事例などを参考に自社のDXを推進してみてください。