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DX in Overseas, ASEAN②

前回は、急激な成長を遂げるASEAN諸国における経済産業省やJETROによる企業間連携の推進についてご紹介しました。今回はASEAN諸国において、各企業がどのようにDXに取り組んでいるか、さらには日本企業がどのように現地企業と連携し、DXを推進しているかを見ていきたいと思います。

ガルーダ・インドネシア航空

インドネシアの国営航空会社であり、年間2500万人以上の乗客を載せて飛ぶガルーダ・インドネシア航空では、パイロットは、運航時に多数の航空機マニュアルから必要となる情報を確認し、運行状況の指標を確認しています。従来はその航空機マニュアルは紙媒体として提供されており、その数も多数に上るため、時にはマニュアルだけで30kgを超えることもあり、1つのフライトが終わるとマニュアルをキャリーバックに入れて、次のフライトへと向かうというような状況でした。

そこで、ガルーダ・インドネシア航空では、「エレクトロニック・フライト・バッグ(Electronic Flight Bag)」と呼ばれるソリューションを開発しました。

これはiPadを活用したもので、ボーイングA330およびB777の電子マニュアルのビューワーと機体パフォーマンス計算アプリからなるものです。このソリューションでは、飛行状況や積載重量計算などのすべてのデータがアプリで提供され、搭乗員やパイロットがより容易にかつ効率的に運航管理を行うことができるようになっています。そしてもちろん電子マニュアルであるため、最新の情報にアクセスすることができ、必要なときにはアップデートを配信することも可能です。

これにより、従来溢れていた紙書類をコックピットから一掃することに成功したことはもちろんのこと、従来はパフォーマンス計算に10分から長いときは50分ほどかかっていたものが5分へと短縮され、さらにパイロットは50%、その他の搭乗員は30%の生産性向上の実現に成功しました。

シンガポールでの新型コロナウイルス対応

日本でもなかなかとどまるところを知らない新型コロナウイルスの脅威ですが、日本以上に少子高齢化が進むシンガポールでは、致死率が高くなる高齢者の人口が増えています。しかし、シンガポールは中国以外で最初に感染が広がった国の1つですが、同じような他の国に比べて、致死率を抑え、さらに新規感染者数も抑え込むことに成功しています。

この背景には、テクノロジーやデータの活用といったDXの推進があります。

まずシンガポールでは、医療分野におけるロボットの活用が進んでおり、例えばロボットアームによる心臓手術なども頻繁に行われています。ロボットを活用することで、医療現場における人への新型コロナウィルスの感染を防止することに加えて、医療関係者の負荷を低減させることが可能となっています。

またシンガポールが長年バイオテクノロジーへの投資を行って来ているという背景から、多くの大企業やスタートアップが成長しており、その中から例えば新型コロナウィルスの感染の初期症状を5分で検知できるテストを開発することに成功した企業なども現れています。さらに、政府自体がオープンデータを掲げ、data.gov.sgというサイトで非常に細かいデータもパブリックに公開することで、市民の不安を低減したり、そのデータを活用したアプリケーションの作成を推進しています。

次に日本企業がASEAN諸国の企業と連携し、DXを共同で推進している事例を見ていきたいと思います。

openlogi x Tokopedia, Shopee

オンラインで物流業務をアウトソーシングできるサービスを提供する日本のスタートアップopenlogiは、インドネシア最大級のECサイト「Tokopedia」と「Shopee」と連携し、Eコマースでの配送のDXを推進する実証実験を行っています。背景として、インドネシアの配送はバイク便が中心ですが、配送の質が低く、住所システムが煩雑なため、配送の負荷が大きいといったことが挙げられます。そこで、EC事業者はopenlogiに物流業務をアウトソーシングすることで、配送を劇的に効率化することに成功しています。

TOYOTA x GRAB

世界に誇る自動車メーカーTOYOTAは東南アジア8か国217都市で配車サービスを手掛けるGrabに10億ドル(約1100億円)を投資し、走行データ利用を推進しています。Grabレンタカー全車両に対し、走行データ連動型自動車保険を提供するといった施策を推進しており、データを活用して、Grabドライバー向け金融サービスやメンテナンスサービスなどを展開していく計画となっています。


このように、デジタル化が急速に進むASEAN諸国においても、DXの推進という流れはますます大きくなっており、その流れの中には日本企業が現地企業と連携することで新しい価値を生み出していこうとするものも含まれています。

次回はDXを推進するにあたり、特にAIをどのように使っていくべきかについてフォーカスを当てていきたいと思います。