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【インタビュー連載】機械学習チームを率いるダビド・クルナポ, Ph.D. -機械学習エンジニアに求められる資質とは

Interviews
2019.07.07

David Cournapeau(ダビド・クルナポ)のインタビュー連載の最後となる第4回では、現在、彼が率いているCogent Labsの機械学習エンジニアリングチームでの経験について聞きます。Cogent Labsの職場環境や、仕事へのモチベーション、機械学習エンジニアリングチームで一緒に働きたいと思うのはどんな方なのかを語ってくれます。

トピック3: ダイナミックな組織で働く喜びと難しさ

Q: 実際にチームを立ち上げてみて、課題はありましたか?

それまでに私が手掛けたプロジェクトは、3、4人程で動かしていました。管理するのがその程度の人数なら、プロジェクトに関わるあらゆることをだいたい把握できるので、技術的な面で不確かな部分をそれほど残さずに意思決定ができます。

今は多くのチームメンバーを率いているので、扱うことがあまりにも多く、全てを把握できる時間はとてもありません。不確かな部分がある状況に対処を迫られることもよくあります。自分の判断で決めなくてはならないことが多いので、とてもやりがいがありますが、同時に難しさも感じています。

 

Q: この会社の職場環境についてどう思いますか?

Cogent Labsの職場環境を形作っている要素はいくつかあります。一つは、まだ小規模な会社なので、常にいろいろなことが起きているということです。これは予想通りですし、私の今までの経験でもよくありました。

また別の要素として、これは日本の企業のなかでもCogent Labsに特有のことですが、非常に国際的な組織だということです。日本人と外国人が半々ぐらい混在しています。多文化的なチームをどのように管理するのか、要領をつかむことは難しいですが、その難しさを楽しんでもいます。どんな会社でも、例えば営業とエンジニアリングというように部署が違えば、それぞれに独自の「言語」や「文化」があります。それに加えてメンバーの国籍がさまざまで、いろいろな言語や文化が混じっているとなれば、コミュケーションはさらに複雑になりかねません。でも同時に、そこがこの会社で働くことの面白さの一つです。

もう一つ、Cogent Labsが他の会社と違う所は、実は私が入社を決めた理由の一つでもあるのですが、共同設立者の二人に技術的なバックグランドがないということです。二人はそれぞれ、セールスフォースの営業部門とモルガン・スタンレーの金融部門に勤めていました。私がここに入社する前に働いていたのは、技術志向の強い人物が設立した小規模な会社ばかりだったので、Cogent Labsに入ったことで、物事には別の方法もあると知る機会ができました。どちらにもプラス面もあればマイナス面もあります。技術面に強い設立者のもとで働いていると、自分のしている仕事について説明するのが楽ですし、彼らはその仕事の内容までよくわかっているので、どうやって仕事を進めるかについても説明しやすいのです。一方、設立者に技術的な知識があまりない場合、仕事の技術的な面を説明するのに苦労するので、良いコミュニケーションをとることが欠かせません。

もちろん、私たちが仕事で扱っているAIは、それ自体が刺激的なものです。また、最新の研究を活用しているので、ますます仕事にやりがいが湧きますし、興味をかき立てられます。個人的には、AIそのものよりも、AIを利用した製品を開発する方が楽しいですね。AIそのものを開発したければ、研究者になります。AIを基盤とした製品開発ならではの技術的な課題を解決することが、モチベーションになっています。まだ新しい分野なので、解決しなければならないことがたくさんあり、そのおかげで自由を感じられると同時に、不安に襲われることも時々あります。

 

Q: Cogent Labsにうまく馴染むのは、どんな資質のある人材だと思いますか?

機械学習エンジニアリングチームに限った話をさせてもらうと、エンジニアには深層学習や機械学習への関心と知識のある人材を求めています。機械学習エンジニアには全員、日常的にしっかり製品開発に取り組んでほしいと思っています。ですから、本気でこういう製品に貢献したいという信念が必要です。製品開発に関心がなく、論文を読んだり新しいアルゴリズムを訓練したりする方に時間をかけたいという人には、この仕事はふさわしくありません。私たちが必要としているのは、大事なのはソフトウェアを書くことだけでなく、そのソフトウェアが正しく機能すること、そして書いた人にしか理解できないような書き方をしないことだとわかっている人材です。実際には、かなり先進的な深層学習や機械学習を応用しようとしているCogent Labsのような会社でも、仕事の大部分はデータ管理や、さまざまな条件下での正確性の維持、スケーラビリティ(拡張性)といったことに関連する作業なのです。

それから、Cogent Labsは小規模な会社なので、将来に向けた計画を立てようとしても、確実性の高い計画を立てたり、遠い将来のことまで計画したりはできないのが現実です。具体的な方向性を定めようとしても、すべてその通りにはいかないこともわかっています。そのため、一つの専門分野だけに突出して強い人材を抱える余裕はありません。そこのバランスをとるのは難しいのですが、いろいろな分野の仕事に柔軟に取り組める人、つまり、どちらかといえばスペシャリストよりジェネラリスト寄りの人材がほしいと思っています。

もう一つ大切な資質として、謙虚さも必要です。私がこれまで推進に努めてきたことの一つに、コードレビューがあります。誰かが一部のコードを書いた場合、単純にそれを残りのコードの中に挿入すればいいというものではなく、必ずレビューを受けなくてはなりません。ですから、自分が書いたコードは必ずレビューされるということを受け入れるだけの謙虚さを持ち合わせた人に来てほしいと思います。

シニアレベルの人材については、いわゆる「T型人材」を求めています。これはビデオゲーム会社のValve(バルブ)が広めた言葉で、ある特定の分野の知識だけでなく、ある程度幅広いスキルを持っている人材という意味です。「T」の横線がその「幅」を表します。そしてそれだけではなく、特定の分野の深い知識を持っていることも必要で、その深さを表すのが「T」の縦線です。

全体的にいえば、私が求めるのは、ある特定のスキルというより、この会社にふさわしい知識をすでに持っていて、かつ新しいことを学ぶ意欲もある、そしてチームで働くことができる、そういう人材です。この三つの資質があれば、それだけで求人応募者の上位20%に入れると思います。

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